グローバルモデリングのコマンドには、アドバンスGSM、GSMベンド、GSMツイスト、GSMラジアルベンドなど、いくつかコマンドがあります。その中に、「GSMコピー」と言うコマンドがあります。
GSMをコピー? これは一体どういうコマンドでしょうか?
今回はこの「GSMコピー」コマンドについて。
コマンドの説明の前に、グローバルモデリング(GSM変形)を行った要素について見てみましょう。
アドバンスGSMコマンドでGSM変形を行った要素は、「アドバンスGSM要素」という、特別な種類の要素になります。そして、アドバンスGSM要素の要素情報を表示すると次のようになります。
面タイプとして「アドバンスGSM」とありますが、その他にはあまり情報がありません。
以下は NURBS 曲面の情報ですが、これらと比べると、アドバンスGSM要素はずいぶん表示される情報が少ないようです。
実はアドバンスGSM要素をはじめとしてGSM変形を行った要素には、「元の要素の情報」+「GSMの変形情報」の情報が含まれているのです。そのため、NURBS 要素のように詳しい情報を表示することができない(そもそも無い)のです。
そして「GSMコピー」コマンドは、このGSM変形を行った要素から「GSMの変形情報」のみを抜き出して他の要素へコピーするコマンドなのです。
例えば、修正する要素で選択漏れがあった場合など、
周囲の変形済みの要素から、変形情報のみをコピーして、選択できていなかった要素を変形することができます。
この操作で、あたかも、選択漏れなど無かったかのように要素を修正することができます。
この機能を利用すると、たとえ数百面を変形させるための変形情報であっても、例えば平面などの単純な要素に変形情報のみコピーして、他のデータ(場所)へ送ることができます。この場合、転送するのは1面だけで良いので、転送する容量が削減できますね!
(この手法は、ThinkDesign 内のコマンドでは、Compensator や AMD/CMD 等で使われています。)
さて、GSM要素には、「元の要素の情報」+「GSMの変形情報」が含まれています。それでは、GSM要素をさらにGSM変形したらどうなるのでしょうか?
この例では、2回目のGSM変形を行う時点で、
「元の要素の情報」=「はじめの要素の情報」+「はじめのGSMの変形情報」
なので、最終的なGSM要素の情報は、
「 「はじめの要素の情報」+「はじめのGSMの変形情報」 」+「2回目のGSMの変形情報」
のように、GSM情報が入れ子構造になるのです。
GSMコピーコマンドでは、この入れ子構造から、個別に変形条件を取り出すこともできます。
次の例では、GSMコピーコマンドで、参照要素として、GSMベンド、GSMツイスト、アドバンスGSMの3コマンドを連続して適用した要素を選択しています。
入れ子になった複数の変形条件があった場合、このように変形条件がリストされ、どの変形条件をコピーするか、または、どこからどこまでコピーするかなどを指定することができます。
入れ子構造の階層は何階層にでも深くすることができますが、階層が深くなるとそれにつれて処理も重くなるので、適度なところで NURBS 要素に変換しておくと良いでしょう。
thinknews vol.742(2022年9月9日配信)
Comments