メッシュの簡易整列を行った時などに、対象のメッシュではない、小さなメッシュが生成されることがあります。何だこれ、と思った方もいらっしゃるかもしれません。
これは「変換参照要素」と言い、メッシュの整列コマンドなどで、「変換参照要素を作成する」にチェックした際に生成されます。
この「変換参照要素」とは何でしょうか?
変換参照要素にはメッシュを整列したときの、メッシュの「移動の情報」が格納されている、特別なメッシュです。
「整列の複製」コマンドを使用すると、この変換参照要素から要素の「移動の情報」を取り出して、他の要素に適用してコピー(移動)することができます。
整列の複製コマンドでは、メッシュだけでなく、曲面やソリッドなど、その他一般の要素も処理することができます。
名前の通り、メッシュを整列させた後、同じ場所にメッシュの元要素などを移動するのに使用します。
ここで、これ、何かに似ていると思いませんか?
そうです、前回説明した「GSMコピー」と似ているのです。
GSM要素は、「元の要素の情報」+「GSMの変形情報」で構成されています。GSMコピーコマンドは、このうちの、「GSMの変形情報」だけを取り出して他の要素に適用するコマンドでした。
整列の複製コマンドは、同様に変換参照要素から「移動の情報」だけを取り出して、他の要素に適用するのです。
別のコマンドなのにちょっと似てて、面白いですね!
ん?「移動の情報」を取り出して、他の要素に適用?
これ、「移動/コピー」コマンドで移動(コピー)した要素から「移動の情報」だけを取り出して、他の要素に適用することができたら便利だと思いませんか?
しかし残念ながら、変換参照要素を生成するのは、メッシュの整列系のコマンドだけなのです。したがって、メッシュを取り扱わないときには利用することができません。
ただし、移動/コピーコマンドを「リンクしてコピー」オプションを使用して履歴付きで実行した場合は、
後から移動の情報を取り出すことができます。
情報を取り出したい履歴をモデル構造ツリーから再定義し、パラメーターは何も変更せずに再定義ボタンを押します。
続いて移動/コピーコマンド開始し、「入力値の回復」ボタンを押します。
すると、先に再定義した移動/コピーコマンドで使用されていた「移動の情報」がコマンドに入力されます。これで「移動の情報」を取り出すことができました。
あとは、移動(コピー)する要素を選択してコマンドを実行します。
簡単ですね! みなさまご活用ください。
thinknews vol.746(2022年10月7日配信)
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